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日本遺産「葛城修験」を歩く

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左上/修験道の開祖、役行者像(犬鳴山七宝瀧寺)
左下/役行者出生地とされる吉祥草寺(奈良県御所市)

右/友ヶ島虎島の第一経塚のある序品窟へ向かう修験者。干潮時しか渡れないため一般登山者は虎島手前の閼伽井跡から遥拝する

 

日本遺産「葛城修験」を歩く

 
 大阪、和歌山、奈良の府県境に横たわる和泉山脈、金剛山地は、古くは「葛城(かつらぎ)」と呼ばれた。修験道(しゅげんどう)の祖、役行者(えんのぎょうじゃ)は、その麓、現在の奈良県御所(ごせ)市茅原(ちはら)で生まれたとされる。7世紀、飛鳥時代のことだ。世界遺産の大峯に先駆けて、役行者が修行を積んだのがこの地であった。
 役行者は、この「葛城」に法華経8巻28品(ほん)を埋めたという。埋納場所(経塚)は諸説あるが、第一経塚は紀伊水道に浮かぶ友ヶ島虎島にあり、最後の第二十八経塚は大和川亀の瀬の亀石とする。この総延長112㌔の葛城の山並みを舞台にした修験道を「葛城修験」と呼ぶ。役行者が修行した場所や開基した寺院、かかわりの深い鬼神ゆかりの地、母公の墓など、足を運ぶべき場所も多い。
 日本遺産「葛城修験」では、28の経塚をめぐる19のモデルコースを設定している(遥拝所含む)。修験者(山伏)が今なお修行する葛城の峰々を歩き、野に伏し山に伏し、自然に祈りをささげてきた日本人の心の原点に触れてみてはいかがだろう。


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「葛城修験」の詳細とモデルコースは、「日本遺産『葛城修験』」ホームページへ。葛城修験の19のコースを収録したマップ&ガイドの無料での郵送にも対応している。ホームページはこちら
問合せ先◎葛城修験日本遺産活用推進協議会事務局(和歌山県観光振興課内)☎073-441-2424

 

 

甲山から孝子越え(モデルコース②)
●歩行距離約11㎞ ●歩行時間3時間35分
​※モデルコース番号は、日本遺産「葛城修験」マップ&ガイド掲載のコース番号


タイトル左上/第二経塚。石祠に碑伝(ひで=お札)が供えられる
左下/西念寺
右/和歌山市街を一望する甲山山頂

 


※クリックで詳細地図が見られます
和歌山県・大阪府ー
アクセス●行き=南海加太線西ノ庄駅 帰り=南海本線孝子駅

 

 葛城第一経塚の友ヶ島序品に次ぐ葛城第二経塚、神福寺跡へは、南海加太(かだ)線西ノ庄駅から出
発する。
 まずは西念寺へ向かう。ここはかつての葛城修験二ノ宿神福寺の十一面観音が移された寺。西念寺からは北へ。道路が尾根に上がり、三差路に出たら経塚の案内に従い第二経塚を訪ねる。
 未舗装路を下り切り右折、佐瀬川の集落に入ると二ノ宿の慈眼院がある。猿坂峠からは近畿自然歩道の道標に従うとよい。展望の良い甲山(かぶとやま)に立ち寄り、三ノ宿の三輪神社へ。神社下で道路に出て、すぐ北の交差点を右折、すぐまた右折して山中へ。八王子峠、藤原峠と越え、いったん道路に出て再び登山道に入る。尾根に出たところで道標に従って右に下り、川沿いを集落に出て孝子(きょうし)駅に着く。
 余裕があれば、役行者母公の墓と伝わる石積みがある高仙寺に足を延ばすとよい。

金剛山(モデルコース⑮)
●歩行距離約11㎞ ●歩行時間4時間15分
​※モデルコース番号は、日本遺産「葛城修験」マップ&ガイド掲載のコース番号


タイトル左上/石寺跡の第二十経塚の大岩
左下/役行者開基とする転法輪寺

右/風の森から見上げる金剛山湧出岳
 


※クリックで詳細地図が見られます
奈良県・大阪府ー
アクセス●行き=近鉄御所線御所駅(奈良交通バス17分)風の森 帰り=金剛登山口(南海バス35分)南海高野線・近鉄長野線河内長野駅


 

 金剛山地の主峰、金剛山に、第二十経塚、第二十一経塚を訪ねる。
 風の森バス停から、高鴨神社を経て国指定史跡の高宮廃寺跡を目指す。道標を頼りに山の手に向かい登山道に入る。廃寺跡手前で左に石寺道が分岐するが、先に廃寺跡に立ち寄るとよいだろう。石寺跡では大岩が経塚として鎮座する。伏見峠でダイヤモンドトレールに合流し右へ。道標から湧出(ゆうしゅつ)岳へ登ると山頂に第二十一経塚がある。そのまま直進しダイヤモンドトレールに再合流、一言主神(ひとことぬしのかみ)を祀る葛木神社、続いて転法輪寺へ。下りは千早本道をたどる。楠木正儀墓の先で千早本道を左へ外れ、楠木正成が鎌倉幕府軍とった千早城跡を経由し、長い石段を下る。バス道に出たら右で金剛登山口バス停、直進すれば行所の多聞寺跡がある千早集落だ。


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